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キャッシング時のグレーゾーン金利…過払い金請求できるってホント?

「過払い金返還請求」って聞いたことがありますか?

テレビで「カードローン会社への過払い金返還請求で100万円以上取り返せた!」なんていうことを謳っている弁護士事務所などのCMを見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「過払い金」って言っても自分は関係ないだろう…とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと待ってください!

2010年くらいまでにキャッシングを利用したことはありませんか?

このような場合、グレーゾーン金利で金利が設定されていて、過払い金が発生しているケースがあります。

今回は、過払い金とはなんなのか調べてみました。ぜひご自分は当てはまるか確認されてみてくださいね。

そもそも教えて!グレーゾーン金利って何?過払い金とは…

「過払い金」という言葉を検索してみるとそれとセットで「グレーゾーン金利」という言葉も出てきます。

CMなどでよく聞くけど、これらの言葉の意味を実はよく分かっていないという方もいらっしゃるかもしれません。

まずは、「過払い金」と「グレーゾーン金利」の言葉の意味をご紹介していきましょう。

法律の隙間をついた金利がグレーゾーン金利です

「金利」ってどういうものかご存知ですか?

金利を簡単に説明すると、貸したお金や、預けたお金に対しする利子の事です。基本的には「年○%」というように年単位で表記されていることが多いでしょう。

例えば、10万円キャッシングするときに「年20.0%」の利子がついているという場合、1年後には12万円返済する必要がありますということになります。

ではグレーゾーン金利って一体なんなのでしょうか?

貸金業法や出資法は2010年6月に改正されました。

それ以前は金利の決まりが出資法と利息制限法という2つの法律によって決められていたのです。

この2つの法律で決められた金利が等しかったら問題なかったのですが、実はこの2つ、それぞれ上限金利が異なって定められていました。

出資法 利息制限法
上限金利 29.2% 20.0%

(10万円未満:20.0%・100万円未満:18.0%・100万円以上:15.0%)

利息制限法は違反しても行政的な処分がありませんでしたが、出資法を上回る金利で貸し付けを行った場合、懲役刑や罰金刑、貸金業の認可取り消しなど行政処分の対象となります。

そのため、多くの消費者金融が、利息制限法を超えて出資法の範囲内で金利を設定し、営業を行っていたのです。

この利息制限法と出資法の金利の幅をグレーゾーン金利と言います。

利息制限法には違反しているけど出資法の範囲内なので法律的にもあいまいな「グレーゾーン」と呼ばれるようになったのです。

2010年に改正された貸金業法および出資法では上限金利が20.0%に統一されていますので、今はグレーゾーン金利と言われていた金利の範囲での貸し付けは行政処分の対象となります。

このグレーゾーン金利により、「過払い金」が発生するという事態になったのです。

過払い金はもともと払う必要のない払いすぎたお金のことです

多くの消費者金融がグレーゾーン金利を採用していました。また、借りる側もその金利が当たり前と思って借り入れを行っていたのです。

しかし、実は、このグレーゾーン金利は利息制限法を上回っている為、返済に必要な金利以上のお金を払っていたことになります。

この払いすぎた金利分のお金のことを「過払い金」と呼ぶのです。

2010年以前にキャッシングを利用したことがある方は、この過払い金が発生している可能性があります。

過払い金は取り戻せる?払いすぎた金利は返還請求できます!

テレビCMなどでよく見るのは「払いすぎたお金を取り戻すことができる!」といったようなフレーズではないでしょうか。

本当に取り戻すことが出来るのでしょうか?

過払い金は払いすぎたお金です!返還請求を行うことができます

過払い金は、そもそも払う必要がないお金ということになります。

その払う必要がないお金を貸金業者に支払っているわけですから、その分に関しては返還してもらうよう請求を行う権利があるのです。

では、過払い金返還請求をするにはどうすればよいのかと言えば、まずは、過払い金が本当に発生するのか否かを確認する必要があります。

今までの取引履歴があればそれをたどっていくことも出来ますが、取引履歴や契約書などを手元に持っているなんて言う方は案外少ないものです。

なら、過払い金が発生するかわからないから返還請求できないの?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

まずは、取引履歴を貸金業者に送ってもらうようにしましょう。

貸金業者は基本的に契約をしている限り取引履歴を保管していますし、利用者本人(または代理人)からの取引履歴の開示請求を拒否することはありません。

取引履歴が届いたら、さっそく過払い金が発生するかどうか、利息制限法の金利に合わせて返済額と金利を計算し直してみましょう。この計算を引き直し計算と言います。

過払い金があった!この後の流れはどうすればいいの?

引き直し計算をしたときに実際に過払い金があることが分かったら、今度は、貸金業者との交渉になります。

過払い金返還を請求するという旨を文書で送り、回答を待つのが一般的です。この時、貸金業者はある程度の譲歩案を提案してくることがあります。

ここで、双方が納得し、話が付けば和解が成立となり、過払い金が返還されます。

返還の方法ですが、既に完済している場合は、指定した口座に貸金業者が振り込んでくれます。まだ返済中の場合は、残債と相殺したり、元本に充てられたりします。

この時点で解決すれば、双方だけの話になりますが、話し合いが決裂した場合は、貸金業者を相手に過払い金返還請求の裁判を起こすことになります。

裁判となると、双方の主張を述べ、裁判所が裁定を下すことになりますが、それと同時に和解交渉も進めていくケースがほとんどです。

裁判で判断がでたり、和解が成立するようなことになると、過払い金が返還されます。

過払い金返還請求をするデメリットってあるの?

2010年以前にキャッシングをしたことがある方の多くが過払い金が発生していると言われています。

もしかしたら自分も過払い金が発生しているかもしれない…とお思いの方も多いかもしれませんね。

しかし、いざ実際に過払い金返還を請求するとなると不安な点もあるのではないでしょうか?

過払い金返還請求のデメリットとしてよく言われることは2点あります。

  • 債務整理として信用情報機関に登録される(完済時を除く)
  • 再び同じ業者を利用することは難しい

過払い金返還請求は実は債務整理の一種となります。

債務整理は基本的には信用情報機関に登録されることになります。そして、この債務整理という情報は、俗に言う「ブラック状態」ということになるのです。

債務整理の情報が付くと、基本的には何らかの金融事故があったと判断されて、他のキャッシングやローンの申し込みが著しく通りにくくなります。

自分のお金を取り戻すだけなのに…とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、避けて通ることができません。

ただし、これはまだ返済中のキャッシングに対してということになります。

すでに完済しているキャッシングについての過払い金返還請求については、債務整理として登録されることはありません。

そのため、信用情報を傷つけたくないと考えている方は完済してから過払い金返還請求を行うようにしましょう。

また、過払い金返還請求は、貸金業者にとってはマイナスですよね。

そのため、一度過払い金返還請求をした貸金業者から再びキャッシングをしたい!と思っても審査に通らない可能性もあります。

また、過払い金の返還の条件として、解約をするとしてくる場合もありますので、日ごろから利用している貸金業者やクレジットカードなどの返還請求はよく考えて行うようにしましょう。

【関連記事】
過去に債務整理を経験…やっぱり借りられない?!キャッシングの常識

過払い金返還請求には時効がある?返還されないケースとは

過払い金返還請求は、余計な金利分のお金を支払っていた人にとっては当然の権利です。

しかし、過払い金返還請求もいつまでも出来るというわけではありませんので注意しましょう。

過払い金返還請求には10年という時効があります!

まず、知っておいてほしいのは、過払い金返還請求には時効があるということです。

過払い金が発生しているかもしれないけど、今は忙しいからまたいつかお金に困った時にでもしよう…なんて悠長に考えているとすでに時効となっている可能性もありますので注意しましょう。

では、過払い金返還請求の時効が何年かというと、完済後から10年です。

ここでポイントとなるのは「完済後」ということになります。

つまり、いまだに返済中であれば、まだ10年のタイムリミットはスタートしていません。しかし、完済するとその時点から10年間しか、過払い金の返還請求ができないのです。

過払い金の発生が2010年以前の契約がメインとなりますから、既に完済後10年経過している可能性もあるのでぜひ一度確認してみてください。

また、もう1点注意してほしいのが、「連続した借り入れ」とみなされるかどうかという点です。

例えばA社で2005年にローンカードを作りキャッシングをしていたとします。借入は1度だけではなく、何度も行っていました。この時、2005年に10万円借り入れし、2006年には一度完済しています。その後2007年~2010年にわたり再び利用しました。

このような状況の場合、同じ貸金業者からの借り入れではありますが、2005年の借り入れと2007年の借り入れが別物とみなされてしまう恐れもあるのです。こうなると、2005年~2006年の借り入れについてはすでに時効を迎えていると主張される可能性もあります。

連続しているかどうかというのは、ケースバイケースで異なりますので、交渉を上手に行っていく必要があるでしょう。

ご注意を…貸金業法が改正されてからは対象外です!

過払い金というのはあくまでも払いすぎた金利ということになります。

合法な範囲での金利については払いすぎてもいないので過払い金は発生していません。

そのため、貸金業法が改正された2010年6月以降の借り入れに対しては過払い金が発生していないと考えてよいでしょう。

ただし、2010年6月以降に契約をしたのに、金利が20.0%を超えているという場合は、違法業者の可能性が高いので弁護士や日本貸金業協会などしかるべき機関に相談してくださいね。

既に借入先が倒産している場合も過払い金返還請求できません

貸金業法が改正されると共に、過払い金返還請求が活発になりました。

そもそも取りすぎた金利なのですが、その分も利益として計算していたため、変換するにつれて貸金業者の業績も悪化してきました。

中には、実際に倒産までした貸金業者もあります。

借入先がすでに倒産している場合は、過払い金の返還を求める先がありませんので、返還請求を行うことができません。

ただし、社名を変更していたり、子会社化していたり、グループ傘下に入っているなどまだ営業を続けている場合は返還請求も可能ですので、社歴をたどってみてください。

キャッシングの過払い金返還請求をしたいなら専門家へ相談しよう

さて、ここまでグレーゾーン金利と過払い金返還請求についてご紹介してきましたが、過払い金返還請求を行いたい!という方もいらっしゃるかもしれません。

では、過払い金返還請求は個人でもできるのでしょうか?

チャレンジ!知識があれば個人でも過払い金返還請求はできる?

過払い金返還請求は裁判にならない限り、個人と貸金業者のやり取りになります。

このやり取りをスムーズに行うには、貸金業やキャッシング、過払い金についての知識が必要となってくるのです。

貸金業法とか法律はよく分からない…という方はなかなか個人での過払い金返還請求は難しいかもしれません。

また、先ほどもご紹介しました引き直し計算は大変面倒な作業です。1度だけ借り入れしてあとはずっと返済のみしていたという場合はそうでもありませんが、カードローンなどで、何度も借りたり返したりを繰り返している場合は、その引き直し計算は複雑です。

この計算額が正確なものでないと貸金業者と交渉はできませんので慎重に行いましょう。

そして、なによりも交渉事ですから、コミュニケーション能力、プレゼン能力などが必要となってきます。

「過払い金を返してくれ!」の一辺倒ではなかなか交渉事はうまくいきません。こちらの要求を伝えながら相手とのうまい妥協点を探っていかなくてはいけないのです。

過払い金返還請求をプロに依頼することも出来ます!

過払い金は発生しているっぽいけど、なんだか面倒だからできないなぁとお考えの方の場合は、ぜひプロに依頼することを検討してみてください。

過払い金の返還請求は個人以外にも、弁護士や司法書士が行うことができます。

ここで気になるのは弁護士と司法書士どちらが良いの?ということではないでしょうか。

弁護士と司法書士では、仕事内容も扱える金額も費用も異なります。

弁護士 司法書士
主な仕事内容 法律に基づいたアドバイスや交渉を行う 不動産や会社など書類の登記を行う
過払い金に対する業務 行うことができる 認定司法書士のみ行うことができる
金額の制限 制限なし 借金・過払い金が140万円以下に限る
かかる費用 比較的高い 比較的安い

過払い金の計算から、裁判まで一括してお願いしたい場合、弁護士は強い味方となってくれるでしょう。しかしその報酬額も大きくなってくることから、もともと過払い金もそんなに多くないだろうし費用も安く抑えたい…という場合は司法書士でも問題ないケースも多いです。

ただ、近年では完済している借り入れについての過払い金請求は前金などが不要となっているケースも多く、成功報酬のみを過払い金から差し引いて渡し、手出しが不要という場合もありますので、チェックしてみてください。

過払い金返還請求についての詐欺が多数あるので注意!

グレーゾーン金利による過払い金の発生により、過払い金返還請求をする人が増えてきました。

それに伴い、過払い金に関する詐欺も増えています。

よくあるケースが、代理で過払い金返還請求の交渉をお願いしたら、交渉はしてくれたけど、返還金が一向に振り込まれないということや、手付金として数十万円払わせておいてそこから音信不通となる場合などです。

弁護士や司法書士に依頼する場合は、まずしっかりとその資格を保有している人なのかどうかを確認しましょう。

また、ネットなどで名前を検索してみるのもよいでしょう。悪質な業者の場合は、ネットで名前が挙がっていることもあります。

また、契約する際にはしっかりと契約書を読み、納得してから申し込むようにしてください。

細かな個人情報を託す相手となりますので、よく精査して依頼先を決定するようにしましょう。

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