キャッシングは通常月々返済して行きますが、何らかの理由で返済が滞り、その後ずっと返済せずに忘れてしまっているというようなことが全くないとは言えません。このような場合キャッシングにも時効が適用されることが有ります。
ただし、キャッシングの滞納と言うのはそれだけでは刑事事件にはなりませんから、時効と言っても、通常の刑事事件のように期間が経過すれば適用になるというものではありません、時効にするためには時効援用を行う必要が有ります。
この時効援用というのは滞納しているキャッシングを提供している金融機関に対して、時効になる旨通告するものです。この時効援用の手続きが終わって初めて、キャッシングの返済滞納の時効が成立します。
キャッシングを何件も抱えてしまうと、返済を忘れてしまうことも無いとは言えません。普通ならすぐに気付きますが、ずっとほったらかしにしている場合もあるでしょう。そして一定期間が過ぎれば返済にも時効が適用されるのです。
ただし、キャッシングの返済の滞納と言うのは刑事事件と言うことではありませんから、時期が来れば勝手に時効が成立するというものではありません。時効を成立させるためには借り手は貸し手に対して時効援用の通告が必要です。
この時効援用は後々に問題を残さないように事前にその手続きを調べて間違いの無いように行ってください。この手続きが終了すればキャッシングの返済についての時効が成立して、以後返済の必要は無くなります。
キャッシングを利用して融資を受けたら普通は返済しますが、返済を行わず、そのままになっているという人もいるのではないでしょうか。
そういった時に、金融機関から借りていたとして次の条件が成立していれば商法第522条に定められた消滅時効と言う時効の成立条件を満たすことになり、債権を消滅させることができるようになります。
まず契約内容に返済日が明記されている場合の時効成立の条件は次のようになります。
次に返済日を明記していない契約の場合には次のようになります。
このように金融機関など法人からの借入では各期日から5年で時効成立の条件を満たします。
ただし個人間の借入については民法第167条が適用されることになり、時効成立条件成立まで10年になるので注意してください。
ただしこの5年間が経過したとしてもそれだけでは条件を満たすだけで時効は成立しません。
刑事事件での時効は、海外に出て時効期間が中断でもしていれば別ですが、期日が来ればそのまま成立します。しかし民事の場合は相手の了解も必要となるため、期日が来たからと言ってそのまま成立ということにはならないのです。
それでは期日が来て消滅時効の条件を満た後、実際に時効を成立させるためにはどういったことをすればよいのかと言うと、時効援用と言う手続きが必要になります。
この時効援用と言うのは簡単に言えば、借り手から貸し手である金融機関に対して、時効になりましたという通告を行うことです。
これによってはじめて消滅時効が成立し、債権が消滅して返済の必要が無くなることになります。
時効援用の通告は郵送によって行いますが、通常の郵便では送った送らないということになりますから、第3者が証明する仕掛けが必要です。したがって時効援用の通告には内容証明郵便を利用することになります。
内容証明郵便の利用方法は近くに郵便局に行けば説明してくれますし、日本郵政のホームページにも説明されていますので、まず目を通しておくようにしましょう。そんなに難しいことではありませんから安心してください。
時効援用についての文書についてはインターネット上を検索すれば書式を見つけることができますから、それを参考にすればすぐに書き上げることができます。
どうしてもそういうことに自信を持てないという人は、弁護士なり、司法書士や行政書士なりに依頼すればすぐに手続きを行ってくれるはずです。ただし料金がかかりますので念のため。
時効援用は依頼したほうが無難
本文で説明したように時効援用の通告は自分でも可能です。しかし料金は掛ったとしても、出来れば弁護士などに依頼したほうが無難です。自分では何らかのミスが有る場合が有るということも有りますが、別の理由もあります。
以後に本文で説明していきますが、消滅時効と言うのは時効が中断されることが有り、例えば5年経過していたとしても、途中で中断していて時効成立の条件を満たしていない場合も有るのです。
こういった場合に下手に時効援用の通告を送ってしまうと、逆に返済を求められる可能性も有るので、そういったことが無いようにするためにも法律に疎い自身で行うのは危険で、やはり専門家に任せたほうが良いのです。
ただしこのキャッシングについての返済の時効は、刑事事件の時効とは違い、場合によっては時効を中断させることができる為、一定期間が経過した後でも、本当に時効が成立するのかどうかは分らず必ず確認が必要です。
返済が行われない場合まずは督促状が送付されてきますが、これだけでは時効は中断しません。しかしなかなか返済が行われなければ、金融機関のほうは裁判に訴えることも有り、この場合には時効が中断されます。
また督促状だけではなく、回収担当などから電話などで接触もあり、その時点で少しでも督促に応じてしまうと、その時点で時効はリセットされまた初めから一定期間が過ぎるまで時効は成立しなくなってしまいます。
もし時効が成立すると借り手のほうは一息つけるかもしれませんが、貸し手である金融機関のほうは貸したお金が返ってこない訳ですから、利益が上がらないだけではなく、返済がされなかった分の損失になってしまいます。
ですから金融機関にとっては時効はとんでもない行為なのです。したがって金融機関はいろいろな方法で時効が成立してしまわないような手を打ってきます。
法的にも簡単に時効が成立してしまっては借り手のモラルを崩壊させてしまいますから、時効を中断させることができるような規定を設けており、金融機関はこれを活用して時効成立を阻んできます。
時効を中断させるには次のような方法が有ります。
まず裁判による請求というのは、なかなか返済に応じてくれない場合、裁判所に訴えて返済を請求すれば、その時点で時効を中断させることができます。
ただしこの場合実際に訴訟をするのではなくて、支払いの督促や調停の申し立て、即決和解の申し立てなどが行われるのが普通です。
債務承認とは、借り手がお金を借りているということを認めるということで、たとえ時効期間が経過した後でもこれを認めてしまうと、時効は成立せず、その時点からまた5年経過しなければ時効にはなりません。
また裁判所が貸し手に対して差し押さえという強制執行の許可を出した場合にも、時効が中断してしまうので、この点についても十分注意しなければなりません。
時効が中断していたとしても、これらの時効中断の理由が無くなってしまえばその時点から再度5年間の時効期間が進行することになります。ただし、裁判で判決が出た場合には判決が確定した日からの時効期間は10年になります。
裁判の場合には訴状が裁判所に提出された時点で時効は中断されてしまいます。この場合借り手が知らないという可能性も十分考えられますから、借り手が時効が成立したと考えても実際には中断していたという可能性もあるのです。
このため時効成立と考えて時効援用を行なおうとする場合には、本当に時効が成立しているのかどうかを事前に調べなければなりません。時効を狙うためには裁判の情報には目を光らせる必要が有るのです。
もし知らない間に裁判が進行していて、確定判決が出されていたとすれば、先ほど説明したように確定判決のあった翌日から10年間時効は成立しないため、時効を狙うためには当分返済を迫られるようになる訳です。
キャッシングで返済が滞ると督促状が送られて来るのはちょっと入金を忘れただけでも行われるので知っている人も多いと思いますが、それを無視していると次は回収担当から電話があり、場合によっては訪問を受けることが有ります。
もちろん現在では厳しい取り立ては法律で禁止されているので、対応はあくまで紳士的に行われますが、声や外見上はかなりいかつい人が回収担当になりますから、借り手はびくびくするでしょう。
このため全額時効にして支払わないのは申し訳ないと思って、少額だけでも返済に応じてしまうと、その時点で債務承認ということになって時効の進行はリセットされてしまいます。
したがって時効成立を目指すのであれば、こういった督促に応じてはいけないのです。
時効に規定は明治時代に背景が有る
消滅時効の規定と言うのは元を正せば明治時代に決められたもので、現在にはそぐわなくなってきています。
明治時代を考えた場合、通信手段も交通手段も発達しておらず、お金を貸したとしても、その後連絡が取れなくなる状況というものが現在よりもずっと高確率で発生していたはずです。
そういった状況で、何年も経過してから突然返済を迫られたとしても、債務の存在自体を忘れているということは珍しいことではなかったわけです。こういった背景が有って消滅時効というものが作られました。
しかし現在では通信手段が発達して、債務について適時通告することができる為、本来は時効の規定を現在向けに修正すべきなのでしょう。
では時効成立後はどういうことになるのでしょうか。まず時効成立で返済が行われなかったという情報は、信用情報内に5年間は残ります。したがって、この5年間はブラックということになりどこからも融資を受けることはできません。
また時効が成立したキャッシングを提供した金融機関の顧客情報には、長く記録が残ることになるため、まず生涯その金融機関とその関連金融機関からの借入は難しいでしょう。
大手金融機関では系列や提携金融機関が多いため注意しなければなりません。
勘違いしているかもしれませんが時効と言うのは無罪になったという意味ではありません。返済は免れても金融機関の不信感は消えないのです。返済を時効にしたということは以後借り入れなど考えないということなのです。
消滅時効が成立した後、その記録は次のように残ります。
記録が残るデータベース | 記録が残る期間 |
---|---|
信用情報 | 5年間 |
当該金融機関の顧客情報 | 半永久 |
まず信用情報にはさまざまな金融取引の情報と一緒にこの消滅時効の情報も格納されます。格納期間は5年間で当然消滅時効と言うのは金融機関にとっては有ってはならないことですからその間は敬遠されます。
したがってこの情報が有った場合には、無条件に審査は否決になるため、どこに行っても融資を受けるのは難しくなるため、いわゆるブラックという状態になってしまいます。
もちろん法的には融資を禁じているわけではありませんから、金融機関さえ融資に応じれば借入れは可能なのですが、時効を経ているということになると、最近増えているブラック対応業者でも融資には応じないでしょう。
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信用情報
信用情報と言うのは金融機関が利用者の情報を共有するために利用するデータベースで、各金融機関が自分の所の利用者との金融取引についての情報を格納しています。
この情報はローンの審査時などに参照され過去の金融取引等に問題が無いかどうかの確認が行われます。通常は銀行、貸金業者、クレジットカード会社で利用する信用情報が違いますが、金融機関に都合の悪い情報は共有されます。
このため例えば銀行のローンの返済で問題が有れば、消費者金融のキャッシングの審査でもその情報が参照されることになり、消費者金融の審査でも問題視されて、審査は否決になってしまう可能性が高くなります。
もちろん消滅時効についても情報は共有され審査での評価に重大な影響を与えます。
信用情報の方はとにかく期間が過ぎれば情報は削除されますから、まだよいのですが、時効になったキャッシングを提供していた金融機関の顧客情報は永久とは言いませんが非常に長い間保存されます。
このため当該金融機関での借入れは一生できないと考えなければなりません。しかもこれだけではありません。最近では金融機関の系列化や提携が進んでおり、大手銀行には大手消費者金融や多数の地方銀行が連なっています。
正確なことは言えませんが、こういったグループ内の金融機関の間では顧客情報が共有化されていると言われており、こういった金融機関でも融資を受けることは難しいでしょう。
はっきり言えば極めて広範囲の金融機関でローンは利用できなくなると考えられます。
時効が成立した人がよく勘違いしているのですが、時効成立で全く無罪になったと考えている場合が有ります。しかし消滅時効が成立したとしても、返済の義務がなくなったというだけで、金融機関的に言えば有罪なのは変わりません。
時効になった時点で金融機関を敵に回したということを認識したほうが良いと思います。敵から借入するなど考えられませんから、要するに消滅時効が成立した後は、生涯キャッシングなどの借入れとは無縁の生活を送る覚悟をするべきです。
時効成立で返済ができなくなっているので、この状況から脱出するのは大変難しいことです。時効を狙うというのはそういうことだと言うことを理解しておくべきです。
時効と言うのは債務を逃れ楽になるのかもしれませんが、同時に自分の将来も縛る事に繋がるのです。
まず当たり前の話として、借りたものは返さなければなりません。特に金融機関から借りる場合にはしっかり契約書を交わして、返済の条件にも了解していたはずです。もし返済が怪しいのであればそういった契約などしてはいけなかったのです。
そうはいっても、返済中には様々な問題が発生するので、返済ができなくなることは有ります。そういう場合には、しらばっくれて時効成立を狙うのではなくて、金融機関と協議して債務整理を行うようにしましょう。
時効と言うのは、返済していたが、何らかの原因で本当に返済を忘れてしまい、知らぬ間に一定期間が経過してしまっていたという場合に考えることで、そもそも時効と言うのはそういった場合を想定した規定であることを忘れてはいけません。
基本に戻って考えてみましょう。お金以外でもそうですが、何かを借りた後はどうするかと言えば、しっかり返します。お金の場合には家族など余程親しい間でない限り、利息を付けて返済します。これがあたりまえの行為です。
しかもお金を借りる場合には、特に相手が金融機関であれば、契約書を取り交わして、その契約書に沿って金融機関は正当な返済をうける権利を有しています。消滅時効を成立させるというのはその契約を反故にするということです。
もし契約が法令を無視したような不当なものなら返済の必要はありませが、そういう場合でも、最近では法令も整備されているので、時効を狙って逃るのではなく、不当性を訴えて公的に債務が無い事にしてもらった方がずっと良い方法です。
返済の可能性を探ろう
消滅時効を狙う人の場合、最初からそのつもりで借入する人と返済ができなくなって逃げてしまう人、そして本当に債務を忘れてしまう人がいますが、もっとも多いのは2番目の返済中に行き詰って逃げてしまう人です。
ですから借入れ前に自分の返済の可能性をしっかり計算して、返済できると考えられる場合だけ借入れるようにすれば、多くの時効は防ぐことができるでしょう。
返済の可能性は過去一年程度遡って自分の月々の収支を計算して、それが返済額を上回っているかどうかを調べればだいたいわかります。
できればそれに加えて返済期間中の返済計画を立てておけば更に確実でしょう。ただし、これを行うには自分の収入と支出をしっかり把握しておく必要が有るので、まずは自分が何にいくらお金を使っているのか確認することから始めてみましょう。
もし返済に窮してしまった場合には、例えば夜逃げをして時効まで身を隠すという手段をとるよりも、返済不能ということを認めて債務整理を行ったほうがずっと良い方法ではないでしょうか。
先程説明したように消滅時効は中断させることができます。金融機関は利益を追求する民間企業です。したがって消滅時効を成立させないためにあらゆる手段を使ってきます。ですから消滅時効はそう簡単には成立しません。
しかも以後融資を受けることも難しくなってしまいます。それに対して債務整理を行って、例えば自己破産すれば裁判所が債務を帳消しにしてくれますし、10年間はやはり融資の利用は難しいですが、それ以後はまたゼロから始めることができます。
したがって、下手に時効を狙うよりも債務整理を行ったほうが良い方法ではないでしょうか。
したがって通常は時効などは考えず、借りたものは返すということを肝に銘じ、もし返済ができそうにないというような場合には、そもそも借り入れなどしないようにすることが大切です。
時効を検討するとすれば本当に債務が有ることを忘れてしまっていて、ある時契約書類などを見つけて債務に気が付いたというような場合に検討するべきです。
そういう場合でも将来を考えれば返済を行ったほうが良いのですが、弁護士などに相談してどう対処すべきか考えるようにしましょう。
時効を考えるのも良いですが、時効にした時にどうなってしまうのかをよく考えたうえで、それを受け入れてなお時効にしたいというときに時効援用の通告をしてください。
ここで未払いのキャッシングの時効について纏めておきます。
できればキャッシングの債務を時効などにしなくても済むように、借入は自分の返済能力をよく考えてから行うようにしましょう。
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