キャッシングを取り扱う業者は消費者金融や銀行などいくつかありますが、中でも手軽さと利便性の面で特に抜きんでているのがクレジットカードのキャッシング枠です。
あらかじめ契約時にキャッシング枠がいくらかセットされていれば、手続き一切不要ですぐに借り入れができるので、とても便利ですよね。
そんなクレジットカードのキャッシング枠は、他のキャッシングサービスと同様に後から限度額を増額することができます。しかし一方で、ある条件のもとでは限度額が引き下げになってしまうケースもあり得るのです。
気になるクレジットカードのキャッシング枠変更の仕組みについて、詳しく解説していきましょう。
クレジットカードのキャッシング枠に限らず、キャッシングにおいて借入限度額の金額や増減に大きく影響するのは、信用度という要素です。というのは、キャッシングが信用貸しというシステムで融資を行っているサービスだからです。
信用貸しとは?
融資を実行してよいかどうかや、融資する金額を、借りる本人の信用度の高さを基準にして判断するタイプの融資サービスのこと。
担保や保証人などの保証システムを原則として必要としないので、比較的手軽にお金が借りられるのがメリット。
その代わり、借入審査の際には本人の個人情報や、過去の借入歴をデータ化した信用情報などが細かくチェックされる。
この信用貸しというシステムをとっている場合、万が一貸したお金が返ってこない貸し倒れ状態になった時に、担保や保証人による未払い分の損失の補てんを受けるということができません。
したがって、《できるだけ完済の見込みが高い人にだけお金を貸したい》というのがキャッシング業者の基本のスタンスになります。そこで重視されるのが信用度なのです。
特に借入限度額の増額審査においては、信用度が決め手と言ってもいいほど重要になります。契約時から見て信用度が下がるような行為があれば、増額希望を出したのに借入限度額が引き下げられてしまうということもあるのです。
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クレジットカード自体の契約審査に通った時点で、基準以上の信用度には達しているということになります。しかしそこから借入限度額を増額するためには、契約時よりも信用度を上げる必要があるのです。
したがって借入限度額の増額審査では、主に契約後の利用実績の評価が重要になります。具体的には、以下の3つの要素が信用度を左右するポイントとなるでしょう。
基本的に、契約期間は長いほど、利用頻度は高いほど増額審査では有利になると言えます。契約して間もなかったり、キャッシング枠の利用が1度もないようでは、信用度が上がりようがないからです。
少なくとも契約期間は半年以上、利用回数は1度以上はないと増額審査で希望を通すことは難しくなるでしょう。
そしてもし契約期間・利用頻度ともに問題なくても、返済延滞などのトラブルがあればそれだけで増額審査を通る可能性はグッと下がります。返済のルールを守れない、期日通りにきちんと支払いができないというのは、信用度を大きく下げることなのです。
延滞が1度あるだけで増額希望が通らなくなる業者は少なからずありますし、延滞の回数や期間によっては借入限度額が逆に引き下げられることになります。
どんなに収入が高く、数値的に見れば返済能力が十分にある人でも、本人にまともにお金を返す気がなければ意味がありませんよね。そういう人は、条件面の良さだけで新規契約の際の審査では通るかもしれませんが、利用実績が重視される増額審査ではそうはいかないのです。
返済延滞の状況があまりにもひどいと、限度額の引き下げ程度では済まないこともあります。
いわゆるブラックになってしまう可能性があるのです。
ブラックとは?
過去の借入歴をデータ化した信用情報に事故情報が登録された状態のこと。
自己破産など信用を著しく損なうような借り入れトラブルを起こすと、事故情報が登録される。
信用情報は信用情報機関で管理されており、借入審査や増額審査の際に必ず確認されるデータなので、事故情報が登録されていることは必ずばれてしまう。
ブラックになるということは、つまり、借りたお金をきちんと返せない信用できない人物という烙印を押されたようなものです。したがって、ほぼ確実にキャッシングや各種ローンなどの審査には通らなくなってしまいます。
返済延滞も数日程度ならともかく、2か月、3か月を超えてくると、事故情報登録が必要なほどのトラブルとみなされます。
少し返済が遅れるくらい…と軽く考えないようにしてください。
借入限度額が引き下げになる原因は、利用実績だけではありません。利用実績になんの問題もなくても、以下の2つのうちいずれかに該当する場合には、信用度が下がり、キャッシング枠の借入限度額が引き下げになってしまう可能性が出てきます。
キャッシング枠の利用実績だけでなく、同じクレジットカードのショッピング枠の利用状況が原因で信用を落としてしまうことがあります。
リボ払いや分割払いでショッピング枠の上限近い金額の残債を抱えている状態です。
ショッピングの支払い額が少し多くなってしまったときに、分割払いを利用することは誰しもありますよね。特に利用金額にかかわらず毎月の支払額が一定になるリボ払いは、無理なく支払いができて非常に便利です。
ただし、このリボ払いや分割払いの支払いを抱えている状況というのは、言い換えれば、クレジットカードを取り扱っている信販会社に対して借金を抱えているのに近い状態です。
もちろんリボ払いや分割払いを利用すること自体には全く問題ありません。
しかし少し支払ってはまた空いたショッピング枠をリボ払い・分割払いで使う…というように利用上限に近い金額の残債を抱えている状態があまりにも長く続くと、業者から支払い能力を不安視され、信用度が下がってしまうことがあります。
クレジットカード契約後に、他のキャッシング業者で借り入れ件数や金額を増やすのも、信用度を下げて借入限度額の引き下げの原因となる行為です。
基本的に、キャッシングの審査では借り入れ件数と金額が増えるほど評価が悪くなります。それは、限度額増額審査でも同じことです。
すでにキャッシング枠があるのに、あえて他社でお金を借りるということは、業者からすると『よほどお金に困って、焦っているのでは?』という印象を受けます。
例えば、他で借り入れをしないと返済が追い付かないほど経済的に危うかったり、増額審査に通るだけの契約期間が経過するのを待てないほど切羽詰っている…などのケースを想定されてしまうのです。
また、借入金額が増えることで総量規制との兼ね合いも問題になってきます。
総量規制とは?
個人のキャッシングでの借り入れ額を、原則として本人年収の3分の1までと制限する仕組みのこと。1社ごとではなく、すべての借り入れを合計した金額が対象となる。
貸金業法というキャッシング業者などを取り締まる法律の中で定められている。
クレジットカードのキャッシング枠は総量規制の対象になります。したがって、他社での借り入れ額が増えて借入合計が総量規制の上限に近づいてくると、法律違反のリスクを避けるために限度額の引き下げを行うこともあり得るのです。
キャッシング枠の借入限度額が引き下げになってしまった場合、契約中はずっとその金額が変わることはないのかと不安になってしまいますよね。
対応は業者によっても異なるので、一概には言えませんが、信用度を回復できれば一度下がった借入限度額が復活する可能性もないとは言えません。
では、いったい何をすれば下がってしまった信用度を回復することにつながるのでしょうか?具体的な方法としては、以下の3つが考えられます。
まず最低限やるべきこととして、返済の期日や金額など返済に関するルールは厳守を心がけましょう。特に延滞は絶対にしてはいけません。
限度額が引き下げになっている状況にも拘わらず延滞を繰り返せば、本格的に返済する気がない、あるいは金銭的に余裕がないとみなされてしまい、借入限度額を現状より上げることは非常に難しくなるでしょう。
もしどうしても期日に返済することができないという場合には、必ず事前に業者に連絡をしましょう。たいていの場合、事前連絡をすれば返済日の変更を受け付けてくれます。
もともとの返済日を守れないことには変わりはありませんが、きちんと支払う意思があると示すことで、無断で返済を延滞するよりは確実に業者に良い印象を与えられます。
キャッシング枠の借入残高やリボ払いの残債は、できる限り早く完済した方が業者からの信用度は高くなります。
そこでおすすめしたいのが、通常の返済とは別に繰り上げ返済や一括返済をすることです。
繰り上げ返済と一括返済とは?
通常の返済とは別で余分に支払いをして借入残高を減らすことを繰り上げ返済という。
一度にまとめて借入残高を全額清算すると、一括返済になる。
予定よりも早く完済するということは、返済する意思を見せると同時に、金銭的な余裕をアピールすることにもつながります。
そのため、業者に『返済能力が高そうだから、もっとお金を借りてほしい!』と思わせることができるのです。しかも、支払いを予定よりも早く終えれば利息を節約することができるので、一石二鳥と言えます。
ただし無理な繰り上げ返済・一括返済をすると、生活費用などが足りなくなり、結局新たに借り入れをしなければならないかもしれません。繰り上げ返済・一括返済はくれぐれもできる範囲で無理なく進めていくようにしてください。
他社での借り入れを減らすのも信用度復活には有効な手段です。
といっても、他社での借り入れ額が大きければすぐに一括返済や繰り上げ返済をして金額を減らすのも難しいですよね。
借り入れ件数を減らすだけでも多少は効果があるので、複数の業者で借り入れがある場合は、まずはおまとめローンなどを利用してそれを一本化しましょう。そのうえで、できるだけ早く完済することを目指してください。
また、今現在は利用していなかったとしても、借り入れ枠があるだけでもキャッシング枠の復活に差し障ることがあります。
もし利用者がすべての借り入れ枠で上限までお金を借りた時に、総量規制の制限を超えてしまうリスクを避けるためです。
したがって、利用していない不要なキャッシングの借り入れ枠はすみやかに解約してしまった方がよいでしょう。余分な借り入れ枠を持たないことは、無駄な借金を防ぐという意味でもおすすめです。
クレジットカードのキャッシング枠変更の決め手となる最大のポイントは、信用度の高さであるということがおわかりいただけたでしょうか?
といっても、信用度を上げるというのはそう難しいことではありません。借りたお金を返済期日を守って返すことや、不要な他社借り入れを整理することは、いずれもキャッシングを利用するうえで基本中の基本とも言えることなのです。
言い換えると、基本的なキャッシングのルールやマナーを守って利用することは、スムーズな借入限度額の増額につながっていくということです。
ぜひここでご紹介した情報を参考にして、信用度をアップするような利用態度を心がけてみてください。
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