よく多重債務者向けとして、消費者金融や銀行はおまとめローンを扱っていたり、ホームページではそのおまとめローンを紹介している情報を見かけます。
確かに借金をいくつも抱えて混乱するよりも、複数の借金を一つにした方が管理しやすいと言えます。何より返済額が減るというメリットがあることは、よく言われることでもあります。
しかし、実は返済総額で見ると、メリットとならない場合も可能性としてあるのです。ここではキャッシングを一本化する時の注意点について考えてみたいと思います。
キャッシングやカードローンは昔よりも審査が厳しいと言われることがある半面、CMの効果もあり、誰もが申し込みしやすくなったと言えます。しかし、その分、多重債務者の問題も解決しているとは言えない状況があります。
確かに借り入れが5件以上ある人が平成19年には約171万人いたのに対し、平成25年には、20万人をきる約19万人と大幅に減っているというデータがあります。また、多重債務者の借入額も昔より減ってはいます。
しかし、3件以上の借入先がある人は平成25年でもまだまだ168万人もいると言うデータもあります。多重債務の問題は、以前より広く浅くという感じで捉えれらると言えそうです。
多重債務は、昔より金額も件数も減っているとはいえ、やはり本人にとってみればかなり深刻な問題に間違いありません。
毎月1回の返済ではすまず、借入先により返済日が違えばその都度、日にちが重なっていればそれだけの額を返済しないといけないのは、相当なストレスになるはずです。
そんな状態から脱却するにはどうしたらいいのか。
様々な情報で言われるのが、借金の一本化、いわゆるおまとめローンを組むことです。
「借金をまとめられるのならば、やりたい。」と誰もが思う筈です。
ニーズがあれば商品はできるもので、確かにおまとめローンや借り換えローンを扱っている金融機関は多くあります。
おまとめローン、またはおまとめ可能としているカードローンの一例
金融機関・商品名等 | 金利(年率) | 限度額 |
---|---|---|
三井住友銀行
「三井住友銀行カードローン」 |
4.0~14.5% | 800万円 |
楽天銀行
「楽天銀行スーパーローン」 (カードローン) |
1.9~14.5% | 800万円 |
イオン銀行
「おまとめローン・フリーローン」 |
3.8~13.5% | 700万円 |
東京スター銀行
「スターワンバンク (おまとめローン)」 |
5.8~14.8% | 1,000万円 |
東京スター銀行
「スターワンバンクローン (のりかえローン)」 |
7.8~9.8% | 1,000万円
+300万円 |
プロミス
「貸金業法に基づく おまとめローン」 |
6.3~17.8% | 300万円 |
アコム
「借換え専用ローン」 |
7.7~18.0% | 300万円 |
アイフル
「かりかえMAX」 |
12.0~17.5% | 500万円 |
アイフル
「おまとめMAX」 |
12.0~15.0% | 500万円 |
ノーローン
「おまとめローン」 |
12.0~18.0% | 300万円 |
他にもいろいろな商品や金融機関がありますし、この一例にもあるのですが通常のカードローンを借り換え用として申し込むこともできます。
また、信販会社が取り扱っている場合もあります。
これらを見てわかるように多くの貸金業者や銀行等がおまとめローンを扱っていたり、対応していたりします。
それだけニーズがあることが伺えるのですが、その理由にはやはり複数社にまたがって借りている借金を1つに整理するだけのメリットがあると言えるからです。
どんなメリットがあるのでしょうか。
このようなことがあります。
ただ、これらのメリットは必ずしも全てが絶対そうなるとは言えません。いろいろな人がいる=いろいろな借金のパターンがあります。その人その人の返済の方法によって変わってきます。
これは、銀行よりも消費者金融に借り入れしている人が対象の話になります。
貸金業法では、それこそ借り過ぎや多重債務に陥らないように法律で消費者金融に対して、申込者の年収の1/3の以上の貸付けを禁止しています。いわゆる総量規制と言われるものです。(銀行は対象外です。)
と言うと、すでに多重債務に陥っている人は、「じゃあおまとめで借りると年収の1/3以上になるから借りられないじゃないか。」と思うかもしれません。
しかし、おまとめや借り換え場合、「顧客に一方的に有利になる貸付け」としてこの総量規制の例外になるのです。
ですので、おまとめする場合には、通常ならば借りられないお金も総量規制にひっかからずに借りることができます。その為、消費者金融ではおまとめとわかりやすいように専用コースがあると言えるのかもしれません。
【関連記事】
総量規制対象外のキャッシングは可能?年収の3分の1以上の借入方法
メリットについて説明しましたが、いろいろなパターンがあると伝えた通り、人により違いがあり、実はそれに伴いおまとめそのものがデメリットになるケースもあります。
必ず良いことだけとは限らないのです。どんなことがあるのでしょうか。
上記の返済額が増える点と闇金や借金そのものが増えてしまうことは少し問題が違いますが、このようなことが考えられます。
上記でメリットとして金利が下がったり返済額が下がったりすることがあると言ったのに、逆にデメリットとして返済の額が増えてしまう点が挙げられているのが不思議に思う人もいるでしょう。これは、先ほども記載したようにケースバイケースなのですが、借金の状況によるところがあります。
例えばAさんがいたとします。Aさんの借金がこのような状況だった場合を試算してみます。
借入残高 | 金利 | 利息額 | 毎月の返済額 | 返済回数 | 返済総額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
B社 | 30万円 | 18% | 88,683円 | 11,000円 | 36回 | 388,683円 |
C社 | 30万円 | 17.8% | 99,852円 | 10,000円 | 40回 | 399,852円 |
D行 | 40万円 | 14.5% | 107,561円 | 12,690円 | 40回 | 507,561円 |
計 | 100万円 | 296,096円 | 33,690円 | 40回 | 1,296,096円 |
※ 各社のシュミレーションを使用
これをとある1社でおまとめローンで借り換えたとします。
どのような返済になるのか、試算してみます。100万円を借り換えた場合
借入残高 | 金利 | 利息額 | 毎月の返済額 | 返済回数 | 返済総額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
E社 | 100万円 | 15.0% | 276,838円 | 31,921円 | 40回 | 1,276,838円 |
E社 | 100万円 | 15.0% | 427,378円 | 23,789円 | 60回 | 1,427,378円 |
F行 | 100万円 | 13.5% | 221,660円 | 33,935円 | 36回 | 1,221,660円 |
F行 | 100万円 | 13.5% | 299,648円 | 27,076円 | 48回 | 1,299,648円 |
これはあくまで一例ですが、1つの金融機関でも返済額と返済回数によって、返済総額が大きく変わることがわかります。
返済期間が延びれば延びるほど、返済総額は増える可能性があります。
これは同じ金利で比べても返済総額が変わってくることでわかると思います。回数や1回の返済額も含めてよく考えて、借り入れ先を見つける必要があります。
多重債務者の多くに共通することですが、お金に関してルーズな点がよく見受けられます。その為、借り入れの申し込みをし、審査に通ったとしても上手く借り換えできずに終わってしまう人がいます。
というのは、おまとめ用として借りたお金を今までの返済にあてずに、今まで同様使ってしまうのです。
「困っているはずなのにそんな事をするなんてあるの?」と思う人もいるかもしれませんが、実際にそういう体験談がいくつもあります。
そうなると借金が倍に膨れ上がるだけでなく、本当に返済に困ってしまいます。まず債務整理をするしか道が無くなってしまいます。これでは本末転倒です。
ですので、借り換えの手続きや対応には注意が必要です。
中には、借り換えローンの業者がそのまま今までの業者へ直接返済手続きをしてくれる業者もあります。
直接他社へ振込してくれる金融機関
その方法ならば、当人にお金が渡らず、使い込んでしまう心配はありません。自分に不安な方は、直接業者間でやりとりしてくれるおまとめローンに申し込みするのも一つの手です。
また、おまとめローンの中には、一度借り入れたら限度額内に枠があろうと再び借り入れすることができず、返済するのみの商品も多くあります。できれば、そのようなおまとめローンに申し込むことをオススメします。
おまとめローンも当然審査があります。おまとめの方が厳しいという話もありますが、やはりこれは金融機関による差があるので一概には言えません。
ただ、やはり借入額よりも件数の方が審査に影響するとよく言われています。どちらにしても、その人によるのでなんとも言えない部分はあります。
とはいえ、返済に困って思うようにおまとめが進まない場合、つい闇金業者に手を出してしまう人も多くいます。
しかし、闇金から借りることだけは、絶対にしないようにしましょう。今以上に借金地獄に陥ることになってしまいます。
また、よくあるミスとして慌てるあまりに大手金融機関と間違えて申し込みしてしまう人もいます。中には巧みに業者名を知名度のある業者名と似せている闇金もいます。
なんとかしたい気持ちはわかりますが、冷静になり紛らわしい業者に引っかからないようにしたいものです。
おまとめや借り換えなどは、今の借金を軽減するにはかなり有効な方法の一つです。しかし一歩間違えば、返済額が増えたり危ない業者に捉まってしまうこともありえます。
物事には必ずと言っていいほど、いい面ばかりではないことを知っておく必要があります。
おまとめもメリットだけでなくデメリットもあることは知っておき、かえって負担が増えないよう気をつける必要があります。
そして、いくつかのシュミレーションを試みて、自分の返済スタイルにあった形でいくつかの借金を一本にまとめることが、一番の借金返済の近道と言えると思います。
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